「好きを仕事に」という幻想
「好きなコトが見つからない」
「自分が何をやりたいのかわからない」
ときどき大学生のメンタリングをしてるんですが、就活を目前に控えた女子ほぼ全員から異口同音にこのセリフが出てきます。
うん、まぁね。わかります。自分の幸福な未来をぼわんとイメージしたときに出てくるのが、「好きなことを仕事にできているリア充な私」なんでしょう。だからこそ、就活と聞いて真っ先にするのが「好きなコト探し」になっちゃうんですよね。
でもさ、むりなわけじゃん。今現在で見つかってないんだから。「好きなコトを仕事にする」って選択肢をはずさないと、ニッポンの女子大生全員就職できなくなっちゃうって話なわけですよ。
実はワタクシ、リクルートの『好きを仕事にする本』、通称「好き本」ってのをずっと作っていましてね(今は廃刊)。なもので、女子たちに「幸福なオンナになるためには、好きなコトを仕事にすべき」ぐらいの、強迫観念を植え付けてしまった犯人の一味かもしれません。そこは、平に謝ります。
というか、わずかながらも確かにいるんです。“好きを仕事に”しているキラキラ女子が。
なので、迷いなく“好きを仕事に”できるくらい好きなコトが大好きなら、好きを仕事にすればいいと思うんです。なんか、禅問答みたいな文章になってるけど。
ただ、こういう人たちは、好きなコトに対する努力とかのめり込みようがハンパない。 “好きを仕事に”するために、「ワークライフバランス、は? 何それ??」ってくらい、1日24時間のすべてを仕事にささげてます。腹のくくり方もホント、潔い。
女性誌とか好き本のインタビューとかでキラッキラな笑顔を炸裂させられるのは、そのくらい“好き”に対するエネルギーがあるからで、昨日今日あわてて見つけた“好き”で、この人たちと同じ土俵に立つのはちょっと無理がある…というのはわかりますよね。
じゃぁ、“好きを仕事に”できない9割近くはいったいどうすればいいのか?
私、近頃すごく思うのは、まずは「なるべくキゲン良くできる仕事を選ぶ」ことなのかなぁって。
大好きってわけじゃないけどこれなら苦もなくできるとか、意識してなかったけどこれは結構人より上手くできるんじゃないかとか、むしろ苦手なことだけど味わえる達成感がたまらないとか。
なんかあるでしょ、誰にでも。そういう、心の琴線がちょっと動く作業とかコミュニケーションスタイルとかが。
そんな要素ができるだけ多い仕事を選ぶと、キラッキラにはなれなくても楽しく働けるんじゃないかなぁと思います。
楽しくやってりゃできることも増えるしね、経験値やつながる人の数も増えるから、いつか心の琴線がもっと大きくゆれる何かに出会えることもあるかもしれない。
楽しく働くって大事よ。じゃないと、存在しない“好き”を探しに、いきなり海外留学とかしちゃう人になっちゃうから。
“好きを仕事に”するんじゃなくて、機嫌良く働ける工夫をして“仕事を好きになる”。
働くことの本質は、私はダンゼンこっちの方だと思います。
そういう意味では、就きたい“業界”や“職種”を決めるところからスタートする今の就職活動って、ピントがぼけているんですよね。それって自分の好きなことや得意なこと、働く目的がハッキリしている人の求職方法だよなぁって。
長くなるので、その話はまた別の機会に。
ではでは、またね(^ー^*)。
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